積極的な心と態度

Positive Thinking and Attitude

 夏期講習のパンフレットの表紙の言葉を「成長の夏、実行の夏。自分の力を信じて積極的な心と態度で取り組もう!」とした。英語で「積極的な心の態度positive mental attitude」というので、「心の態度」も考えたが、「心と態度」に決めた。なぜなら、心の態度attitudeが変わると、行動の態度behaviorも変わるからだ。わたしたちが使う「態度」という言葉には、どちらの英語の意味も含まれている。
 さて、君は、どんな夏を過ごそうと考えているだろうか?
 わたしは、この夏が、君にとって「成長の夏、実行の夏」になることを願っている。
 そして、「成長の夏、実行の夏」を実現するために、「自分の力を信じて、積極的な心と態度で取り組もう!」と君を強く励ましたい。
 あとは、君が「やるぞ」と自分に気合を入れて、行動を起こせば、君自身でも信じられないような力がわき上がってくるだろう。
 夏とは、そういう季節なのだ。この夏の特性を生かすことは、君にとって重要なことである。
 今年は、山手学院の45周年にあたるため、いろいろな校舎の保護者会や公開講座で、山手学院の教務部の責任者や室長たちといっしょに入試分析や学習法や合格必勝法などを語っている。
 おもしろく、楽しく聞いてもらうために、毎回、ポイントは変えているが、学習法自体はほとんど変わらない。(コロコロ変わったら身につけられない)
 ところが、学習法などより先に、君たちは「生活習慣」を身につけなければいけない。
 「生活習慣+学習=学力」というのが、わたしの主張である。
 もし君が就寝前にテレビやパソコンやスマートフォンなどに時間を使っているようであれば、電子機器の光によってメラトニンの分泌が妨げられ睡眠が浅くなってしまう。そして、こわいことに、君の脳や体を成長させ、傷ついた細胞を修復し、疲労を回復させる成長ホルモンが分泌されなくなってしまう。朝、起きられない。体調がよくない。やる気が起きない。これでは、学習どころではないだろう。
 さらに、睡眠前の記憶は、テレビやパソコンやスマートフォンなどの情報によって、壊れることがわかっている。だから、わたしは、「ご褒美テレビ」のような、学習後に別の情報をぶつけることのマイナスを説明し、さらに受験生を中心に、「就寝前は、電子機器の使用禁止。手短にまとめ学習をしてから、リラックスして積極的な気持ちで(できると信じて)ぐっすり眠る」を強く勧めている。
 実際にやってみると、多くの生徒たちが、「朝、起きたとき、すべておぼえていました」「どんどんできるようになりました」「記憶が楽になりました」「短時間でできるようになりました」「学習に自信が持てました」などと、異口同音に報告してくれる。記憶と睡眠はセットであるから、当然である。
 そして、かれらが報告してこない(気づかない)もっとすぐれた効果がある。それは、かれらが「積極的な心と態度」を強化していることだ。
 睡眠時の脳波は、リラックス・浅い眠り・レム睡眠におけるアルファ波・シータ波から、深い眠り(熟睡状態)・ノンレム睡眠におけるデルタ波を往復する。このとき、記憶だけでなく、自己イメージも書き込まれる。いいかえれば、積極的な気持ちでぐっすり眠れば、積極的な気持ちで起きられるようになる。
 なにごとも論より証拠だから、この夏のあいだ(今日からでもいい)、「自分の力を信じて積極的な気持ち」で就寝して、「積極的な気持ち」で、朝、起きてみよう。
 きっとさまざまなことがうまくいくようになるだろう。

学院長 筒井保明